角海老トップニュース

2016年10月28日

【試合プレビュー】岡田博喜(角海老宝石)VS 細川バレンタイン(宮田)

 11月1日に行われる「角海老ボクシング」。メインイベントは近未来を担うトッププロスペクトとして注目と期待を一身に集める“ボクシング界のレインメーカー”日本スーパー・ライト級チャンピオン岡田博喜(角海老宝石)のV6戦。同級8位・細川バレンタイン(宮田)の挑戦を受けて立つ。

 右手親指骨折からの戦線復帰を果たした2016年。暫定チャンピオン中澤将信(帝拳)を迎えた年初の王座統一戦でブランクの影響をおくびにも出さない「神ってる」パフォーマンスを披露して、その株価をストップ高まで跳ね上げた岡田は、続く4月の“宿敵”麻生興一(三迫)との因縁の再戦も横綱相撲で返り討ち。絶対王者の地位を確立した。しかし、直近の青木クリスチャーノ(駿河)戦はブラジル出身の変則ファイターに手を焼き、9回負傷判定勝利。内容次第では日本王座からの卒業も示唆していた岡田は、その不完全燃焼な決着に肩を落とし、プランの一時凍結を決意。やり残した宿題を片付けるため、今年4度目の防衛戦に臨む運びとなった。2010年以降、年間4度の防衛に成功した日本チャンピオンは2011年の淵上誠(八王子中屋、ミドル級)と2015年の細野悟(大橋、フェザー級)の二者のみ。虎の子のベルトを守り抜いてキャリアに箔を付け、数質ともに超一流の日本チャンピオンという揺るぎない評価を享受すれば、難攻不落の岡田丸はいよいよ次なる陣に向け、歩を進めることになるだろう。

 いかなる状況においても、自我を見失うことなく、課せられた仕事を飄々とこなす職人気質な一面は岡田の長所に挙げられるが、今回ばかりは否応なく意気昂揚せずにはいられない外的要因も存在する。佐藤直樹トレーナーに師事するステーブルメイトとして切磋琢磨してきた高山樹延(角海老宝石)が9月23日に現役引退を表明。その1週間後の9月30日には、小國以載(角海老宝石)が大晦日にジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)の持つIBF世界スーパー・バンタム級王座へ挑戦すると発表された。プライベートでも行動をともにする機会が多い4歳年上の高山と1歳年長の小國は年齢差を越えて互いを認め合い、気心が知れた、岡田にとってのアニキ的存在。日本ウェルター級王座V6の実績を誇る高山の防衛レコードに肩を並べることは敬愛する「スヨンさん」への恩返しとなり、一世一代の大勝負に向けて準備に余念がない「オグニさん」に闘魂を注入する心強いエールとなる。MLB球団の巨額オファーを蹴って、日本球界復帰を果たし、古巣に四半世紀ぶりのチャンピオンフラッグをもたらした広島東洋カープの救世主・黒田博樹の如く、クールな表情の内に秘めた岡田博喜の男気に今夜、我々は引き込まれるに違いない。

 今夏のリオデジャネイロ五輪男子4×100mリレー決勝でアンカーの大役を務め、銀メダル獲得の偉業を成し遂げたケンブリッジ飛鳥(ドーム)の活躍に代表されるように、ハーフのアスリートの活躍が目覚ましい昨今の日本スポーツ界。今夜の挑戦者・細川バレンタイン(宮田)は昨夏の全国高校野球選手権大会で甲子園に旋風を巻き起こしたオコエ瑠偉(東北楽天)と同様、ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。イギリスの名門ケンブリッジ大学の留学試験に合格したというマルチな才能は23歳で始めたボクシングでも発揮され、2008年に全日本新人王(ライト級)を獲得。最高位日本スーパー・ライト級1位まで駆け上がったが、チャンピオンと1位の間に高く険しい壁が立ち塞がるのがボクシングの世界。2013年2月の王座初挑戦で当時の日本スーパー・ライト級チャンピオン岩渕真也(草加有沢)の軍門に下り、半年後にはOPBF東洋太平洋同級王座奪取を狙って敵地に乗り込み、金民旭(韓国)に挑むも、11回TKOで一敗地に塗れた。それでも「試練とは乗り越えられる者だけに与えられる」との言葉通り、様々な困難に直面するたび、真正面から突破口を探って成功を収め、人間力を高めてきた細川は臥薪嘗胆、拳の研鑽に努め続けた。雌伏3年、ついに引き寄せた3度目の王座挑戦。大看板の内藤大助(元WBC世界フライ級チャンピオン)引退後、粉川拓也(現日本フライ級チャンピオン)、新藤寛之(前日本ウェルター級チャンピオン)とともに宮田ジムの屋台骨を支えてきた細川は日本一の座を射止め、デビュー11年目の11月1日をバレンタインデーとすることができるのか。

 セミファイナルには、今年7月の「角海老ボクシング」で技巧派の緒方勇希(角海老宝石)を8回判定で破る殊勲の星を挙げた日本スーパー・フェザー級9位の荒木貴裕(極東)が登場。対戦相手には日本フェザー級15位・大橋健典(角海老宝石)が名乗りを上げた。“精密機械”と謳われた元WBA&WBC世界ジュニア・ライト級チャンピオン沼田義明を世に送り出した古豪ジムに28年ぶりの日本ランキングを持ち帰った荒木と、刺客として白羽の矢が立てられたスラッガー大橋による、極東vs角海老の第2ラウンドはどちらに軍配が上がるのか。このランカー対決も勝負の行方が非常に興味深い。

 第4試合でグリアングライ・シットサイトーン(タイ)を迎え撃つ坂本“D”大輔(角海老宝石)は現在日本ウェルター級1位。この前哨戦を無難にクリアすれば、来春に開催されるチャンピオンカーニバル出場権が転がり込む公算が高い立場にある。年齢とキャリアを重ね、セルフコントロールの術を体得した大器晩成型の坂本Dは次戦に向けた布石を打つ丁寧な試合運びを心掛け、満を持して王座初挑戦に駒を進めたい。

(黒井 崇貴)


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