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2017年5月4日

藤本京太郎 試合直前インタビュー

 1月にアジア人初の東洋太平洋ヘビー級王者となった藤本京太郎の初防衛戦。対戦相手は指名挑戦者で同級1位のヘルマン・パーセル(サモア)。12勝5敗、22歳の右ファイターに対して「KOできるチャンスもあると思う」と藤本に、前回のタイトルマッチから今戦まで、またヘビー級で戦うことの意味などを聞いた。


――初防衛戦が決まって心境は?
「試合を組むのが大変だったみたいで、まずは決まって良かったです」

――1月に東洋太平洋ヘビー級タイトルを獲ってからどういう時間を過ごしてきた?
「次が初防衛戦なのか、または別の道へ行くのかがまだ分からなかったし、自分の中では目標にしていた東洋を獲ったことが大きくて。元々格闘技に対して日常的にコツコツやるという前向きな気持ちはあまりない方なので(笑)、練習も自分が動き出すのを待つって感じなんですよね。気持ちや体が乗ってきて一気に動くから、なかなか練習に気持ちを切り替えるのが難しかったですね」

――東洋タイトルは達成感があった?
「アジア人としてヘビー級で初の東洋王者になったことが騒がれましたが、世界的に見れば東洋チャンピオンにどれだけの価値があるのかと言えば微妙ですし、ベルトを獲った喜びよりも、自分の中で何か一つ成し遂げることができたということ、その気持ちの方が大きかったですね。6年前に王座獲得に失敗して、しかも同じ相手との再戦。この6年間ずっと目標にしてきましたし、新年一発目の角海老主催の興行でメインを張らせてもらったんですけど、負けた選手も多くて。プレッシャーがすごかったし、本当にしんどい試合だったんですが、それでも自分はK-1時代に大きな舞台で戦わせてもらった経験があって、そういう苦しい状況を乗り越えることができ、人として成長できた実感もありました。ただ、試合内容に関しては自分の中ではまだまだ、という思いが強いのも確かです」

――前回の試合ではKOこそできなかったものの、試合はダウンも取って完封といった内容でしたが、自己評価としては?
「あれもやろうと思ってやったわけじゃなく、試合の流れの中で体が勝手に動いてああなったという感じなんですよね。自分ではうまくできたかなと思いますけど、内容に関しては色々意見はあると思います。(倒しに)行けたかって言われたら行けたかもしれないけど、やっぱり勝たないといけない試合だったので」

――倒したいという気持ちはある?
「僕の性格から言ったら、そこまで倒したいという気持ちが強い方ではないんで、ああいう形の勝利でも良いと言えば良いんですが、それで満足してしまってはそこで終わってしまうので、やっぱりチャンスがある時には行かないとダメですね。タイミングがあれば倒したいです、もちろん。でもそのタイミングを作るのも自分なんで、それまでに相手にどれだけダメージを与えることができてるか、自分にはヘビー級で通用するパンチ力があるわけでないので、最初からそこを狙いすぎてもダメなのは分かってます。すべてはタイミング。だけど前回の試合が理想かというとそうでもない。難しいですね…。でも今のままで良いと納得はしてないです」

――初防衛戦の対戦相手のパーセル選手の印象について
「体重もそんなに変わらないし、やりやすいと思います。前回ほどプレッシャーもないですし、倒せるチャンスもあると思います。別に序盤で倒さなくても12回あるんで、タイミングがあればKOも狙いたいですね。お金を払ってわざわざ見に来てくれるお客さんに、勝利プラスアルファを見せてあげたいと思います」

――どういう試合運び、理想の戦い方は?
「基本的に僕は相手のビデオを見ないし、他人にあまり興味がないので、自分の世界の中で戦いたいというか、自分の世界の中に相手がいるような状態で試合ができたらと思いますね。相手のパンチをできるだけもらわないで自分がやりたいようにやって、最後は倒して勝てたら理想です。その中でフェイントを入れたり、ボディーをしっかり打ちに行ったり、試したいこともありますし」

――藤本選手にとって目標とする選手や憧れの選手は?
「いません。ボクシングの試合はほとんど見ないですし、例えばクリチコやワイルダーの試合も見たことはないですし、タイソンの試合ですらほとんどありません。もちろん強いのは知ってますし、リスペクトはしますけど、K-1の頃から誰かを目標にしたことないです。結局やるのは自分だし、他人の真似をしようとも思わないです。むしろ人とは違うこと、人がやらないことをしたいと思う方なんで」

――ヘビー級で戦うことも人がやらないことを、という現れでもある?
「そういうところもありますよね。人がやってないから面白い、そう思う反面、周りの人はどう感じてるだろうって考えると、物足りないと思ってる人が多いと思います。日本のヘビー級を背負う自負があるかと聞かれても、そこまでオレがオレがというタイプでもないし、まず日本は軽量級が天国なんで必要とされているかどうかも分からない。自分としては日本、東洋を獲って、世界ランキングもWBO13位、WBC15位と世界挑戦圏内にも入って、やることはやってるつもりですが、それでも日本人がヘビー級でやってくのは難しいと思ってます。運動神経やスピード、体格、対戦相手のことや、環境的にも規模が小さい中でスパーリングパートナーがいないし、海外に行くのにはお金がかかる。それでも自分がK-1からボクシングに来て、ヘビー級と決めてやり始めたんだから、自分が決めたことから逃げない、やり遂げたいっていう思いですね」

――最後までヘビー級にこだわりたい?
「もしかしたらクルーザーの方が通用するかもしれないですけど、やっぱりヘビー級って分かりやすいし、夢があるじゃないですか。その夢に向かって、自分がやりたいからやってるだけなのかもしれないけど、甘い世界じゃないし、もしかしたら世界ランカーの中で自分が一番弱いかもしれない。ランキングに入ってる選手は本当に強い選手ばかりなので。その中で日本人、アジア人の自分がどこまで通用するのかやってみたいし、最後に引退する時、ヘビー級でやってきて良かったって心から思えるように頑張っていきたいですね」

――それでは最後に試合への意気込みを
「元々何の取り柄もないこんな僕でもボクシングを通じて成長し、ここまでやることができてるのは応援してくれる人たちのおかげだと思ってます。自分にしか興味がない人間なんですが、応援してくれる人たちがいるからこそ戦っていける。やりたいことをやりながら勝てば喜んでくれて、おめでとう、良かったねって認めてくれて、負ければ共に泣いてくれる。こんなありがたいことはないです。だからホームとアウェイだと全然違うんですよね。後楽園ホールで負けたことは一度もないです。それに応えるために自分の与えられた使命はまずは試合に勝つこと、そして何かを感じ、喜んでもらえるような試合をすることだと思ってます。30歳と格闘技人生の大台に入り、これからもっと頑張らなきゃいけない。ヘビー級は一瞬で終わってしまうので、細心の注意を払いながら警戒し、最後は良い形で勝ちたいと思います」


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