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トレーナー紹介

田島孝介

TrainerColumn

”教授”こと田島孝介トレーナーは夜のジムをメインに担当している。角海老宝石ジムで”夜の教授”と言えばこの人である。

田島孝介

ボクシングジムでは基本的にプロの大半は昼間に練習に来る。夜の部に来るのは仕事をしながらボクサーをしている者や、学生や社会人らの練習生が中心となる。プロを含め角海老ジム生は約110人(08年8月現在)、うち40人程度は夜の練習生たちだが、その多くを田島が見ているのだ。
「チャンピオンを作りたいのはヤマヤマなんですけど、いかんせん夜はプロが少ないんですよ(笑)。ランカークラスはだいたい昼間に来ますから」と笑う。
プロ野球で例えると、昼の部が1軍だとしたら夜の部はファームと言ったところか。ならば田島は2軍ヘッドコーチのような立場かもしれない。実際、夜の部でプロになり、上位選手になってゆけば仕事をやめてボクシング一本で食っていく生活になるだろう。となれば練習時間も必然と夜から昼へと変わっていくわけだ。そうやって田島が「1軍」に送り込んだ選手も多い。フライ級で日本タイトルにも挑戦した佐藤常次郎はそのパターンだった。

田島孝介

見ている練習生の数は20人近く。「たぶんトレーナーの中でも一番多いんじゃないですか」と田島は言う。
「10年以上トレーナーをやってるんで、そろそろ実績も欲しいところです。ですが、夜に来るジム生は別の手段で生活しながらボクシングをしてる連中が多い。言ってしまえばプロになる素質がない奴だっていますから」
それでも田島はそんな夜のボクサーたちを一番多く見ている。
「なんでですかね。まずほかに見る人間がいない(笑)。うーん、どうせなら見てもらった方が本人も嬉しいだろうし。仕事もあって忙しい日常の中でなんとか時間を作り、月謝を払ってジムに来る。彼らはボクシングが本当に好きで来てる人たちなんですよね。家族だったり周囲に反対される子って多いでしょ。うちの親も何やっても反対する方だったから。まあそういうのもあって、僕はそこまでしてボクシングをやりたいんだったら、せめてジムの中では好きなだけやらせてあげたいですね」

田島孝介

好きなことを思いきりやれる幸せ。それはどんな忙しい日々の中でも何物にも代え難い喜びなはずだ。しかしボクシングは辛く厳しいスポーツでもある。学業や仕事と両立させるのはそう簡単なことではないかもしれない。夜の練習生には文字通り「光」はまだ当たらないかもしれないが、ボクシングに対するその思いには感心すると言う。
「まだ高校生の男の子なんですけど、その子は銚子から来てて、週末だけジムに練習に来るんです。平日は学校終わった後にアルバイトして週末分の往復の交通費と月謝分を稼いでる。社会人にしても仕事の後にロードワークをしたり、まず朝からずっと仕事してから来るわけだから1日の睡眠時間は3、4時間だったりなんてザラ。まさしく『寝る間を惜しんで』ボクシングをやってるんですよ。そういう情熱や思いは大事にした方が絶対いいし、もし彼らが社会に出て立派な大人になった時に、若い連中にも好きなことを思い切りやらせてあげられると思うんですよ」
夢はこの「夜の部」からチャンピオンを作ること。「やっぱりトレーナーの喜びは選手が勝つことですから。まだベルトは獲ってないんで」と言葉に力が入る。田島が仕込んだ夜のボクサーが1軍のリングでスポットライトを浴びてベルトを巻く日は必ず来るはずだ。

[取材・文:野口弘宜]

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