トレーナーの仕事についても、「体が痛くて何度もやめようと思った」と言う。木内氏は現在茨城県在住。自営でやっている魚屋の仕事があるため朝は4時に家を出て、築地で仕入れをした後に取引先に配達、仕事を終えてから昼過ぎにジムに行くという生活。特に今年4月のチャンピオンカーニバルでは、担当していた榎、前田、中島の3選手のタイトル戦があったため心底辛かったという。

「本気で死ぬかと思いましたよ。1カ月の間にタイトル戦が3つですよ。ジムに行く時なんてこのまま逃げちゃおうかと思ったくらい」と愚痴をこぼす。

しかしそれでも3戦ともしっかり勝利を収めているのだから流石と言わざる得ない。 いくらボクシングに深い思い入れはないと言いながらも、木内氏が名トレーナーであることは誰の目にも明らかだ。そして仕事に関しても絶対に手は抜かない。その手腕は前田、中島選手が引退後に「木内さんじゃなかったら続かなかった」と口を揃えるほどだ。

「性格かもしれないけど、俺は自分が前に出ていくタイプのトレーナーじゃないんですよ。黒子に徹するから。結局試合をするのは選手なわけだから、なるべく選手の意向は尊重してあげる、ってことが指導方針かもしれない。後はこっちも練習は本気で付き合ってあげること。ミット打ちなんて本当に激務だけど、俺は体張ってやりますよ。こっちだって一生懸命やってんだから、お前も一生懸命やれってなるでしょ」

今まで作ったチャンピオン6人は入門当時から見てきた。前田、中島選手も然り、今担当している榎選手、木嶋安雄選手(日本バンタム級1位)も同様だ。

「やっぱり選手が勝てば嬉しいし、勝たせてやるのが俺の仕事だし。でもね、結果だけの世界だからこの仕事が嫌になる時があるんですよ。負けた選手を見るのは本当にやりきれない。だから俺はKOを狙ったりしなくても地味でもいいから負けないボクシングをすればいいと思ってるんです。負けるのが俺も一番恐いし辛いから」  


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