2018-11-20
日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
チャンピオン:細川バレンタイン(角海老宝石)× 稲垣孝(フラッシュ赤羽)
日本、東洋太平洋、WBOアジアパシフィックの地域王座、そして世界(WBA、WBC、IBF、WBO)と日本のジム所属選手が獲得可能な王座はいくつかある。そのなかで現役最年長のベルト保持者が、日本スーパー・ライト級王者の細川バレンタイン(角海老宝石)だ。1981年4月16日生まれだから37歳7ヵ月ということになる。今回、その細川が33歳の稲垣孝(フラッシュ赤羽)を挑戦者に迎えて2度目の防衛戦に臨む。スパーリングで数えきれないほど手合わせした間柄だけに、互いに手の内は熟知しているはず。
このところ充実している細川有利は不動だが、稲垣がかき回して乱戦に持ち込む可能性もある。
細川は昨年12月、旧知の仲でもある麻生興一(三迫)に競り勝って36歳で戴冠を果たした。13年に東洋太平洋王座(11回TKO負け)、16年に日本王座(10回判定負け)に挑んで失敗。ジム移籍を経て3度目の挑戦を実らせたかたちとなった。負けていれば選手生命を左右する大事な一戦で結果を残したことで、大きな自信を得たのだろう。今年5月の初防衛戦では1位のデスティノ・ジャパン(ピューマ渡久地)とダウン応酬の激闘を繰り広げたすえ、7回に鮮やかな右をヒットしてTKO勝ちを収めている。細川は「先にダウンを喫したけれど、そのあとで前に出ることができた。そんな自分を褒めたい」と話しており、この試合で自信と経験値が一段アップしたものと思われる。戦績は32戦23勝(10KO)6敗3分。この階級にしては身長163センチと小柄な細川は前後左右に動きながら左ジャブを突き、機をみて飛び込む右のボクサーファイター型だが、戦いぶりは好戦的だ。KO率は31%と必ずしも高くないが、デスティノ戦では抜群のタイミングで右を打ち込んでおり、攻撃力も増しているものと思われる。
挑戦者の稲垣は03年7月のプロデビューだから、キャリアは15年以上になる。初陣が1回KO負けという最悪のスタートで、4年間に14戦した時点の戦績は6勝(3KO)8敗と散々だった。そこから6連勝を収め、のちに世界王者になる三浦隆司(横浜光⇒帝拳)の持つ日本スーパー・フェザー級王座に挑んだが、9回TKO負け(10年10月)。1年後には日本ライト級王座決定戦に出場したが、加藤善孝(角海老宝石)に10回判定で敗れた。その後、13年から16年にかけて5試合も勝利から遠ざかったこともある。現在も2試合続けて武運から見放されている状況だ。通算戦績は39戦20勝(9KO)17敗2分で、辛うじて勝率5割をキープしている。こちらは細川とは対照的に176センチと上背があるが、自ら距離を潰して攻め込むファイター型だ。パンチの切れや破壊力は感じられないが、ラフで執拗なスタイルとあって相手にとっては戦いにくいタイプといえよう。
ボクシングの幅で勝る細川は、まずは足と左ジャブを有効につかってペース掌握を狙うものと思われる。一方の稲垣はプレッシャーをかけて細川の可動範囲を狭めたいところ。序盤は両者の距離、主導権争いに注目したい。ここで王者がペースを握るようだと、そのままポイントを引き離していきそうだ。稲垣は食い下がって乱戦に持ち込みたいが、充実期にある細川を攻め落とすのは容易ではないだろう。
セミファイナルでは、日本スーパー・ライト級2位の今野裕介(29=角海老宝石 17戦13勝7KO4敗)対同級9位のデスティノ・ジャパン(34=ピューマ渡久地 30戦24勝22KO4敗2分)の10回戦が組まれている。左ジャブを突きながら前に出て左右フックで相手を潰す好戦派の今野と、長い距離から繰り出すワンツーを中心に73パーセントのKO率を誇る強打者のデスティノ。KO決着必至の好カードだ。
セミファイナルの前には元IBF世界スーパー・バンタム級王者の小國以載(30=角海老宝石 22戦19勝7KO2敗1分)の復帰戦がセットされている。相手は5度目の来日となるアレガ・ユニアン(30=インドネシア 17戦6勝1KO11敗)。17年9月、岩佐亮佑(28=セレス)に6回TKO負けを喫して世界王座を失った小國にとっては1年3ヵ月ぶりのリングとなる。6年前から慢性的な痛みがあった右拳を手術(18年1月)したことで、全体的なパフォーマンスがどう向上するのか。小國本人は「調整のなかでの通過点なのでKOにこだわりはない。むしろ長いラウンドを経験しておきたい」と話している。
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