2024-11-29
58年に及ぶ裁判闘争の末、無罪判決を勝ち取った元プロボクサー、袴田巌さんが29日、後楽園ホール「Pioneer of Fight vol.9 & 大和魂18」に来場した。
袴田さんは日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会の招きで姉の秀子さんらと後楽園ホールを訪れた。ボクシング観戦は同じく委員会が招待した15年3月以来およそ9年半ぶり。この日はボクシングを1試合観戦し、リング上から無罪獲得の報告をする予定だった。
しかし、関係者とともにリングに上がったのは秀子さんのみ。秀子さんは「5分前までは大丈夫だったのに、急に機嫌が悪くなった」と説明。この日、袴田さんは蝶ネクタイにジャケットを着て機嫌良く浜松から上京したが、直前になって気持ちが変わってしまったという。それでも秀子さんがあいさつすると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
袴田さんは48年収監され、その大半を死刑囚として過ごした結果“拘禁症状”を患い、精神状態がとても不安定だ。結局、用意された“袴田シート”でじっくり試合を観ることはなく、通路で車いすからわずかに試合を見るにとどまった。
この日の興行には、WBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人(M.T)が駆けつけ、秀子さんとともにリングに上がった。これまで袴田さんの支援活動に参加してきた中谷は「おめでとうございます」と袴田さんに直接話しかけた。記者会見では「長い間、戦ってこられて、僕自身、力をもらいました。自分もできることを精いっぱいやっていきたい」と述べた。